コラム

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在宅介護で行う高齢者の肌乾燥スキンケアについて

神戸・六甲で開院している在宅医療・一般内科・血液内科の赤坂クリニック/スナメリ訪問看護ステーションです。

高齢者の皮膚は、加齢に伴い皮膚の菲薄化(薄くなること)、弾力性の低下、皮膚の乾燥などから皮膚トラブルのリスクが高くなるので、日ごろからの予防・スキンケア(洗浄・清潔、保湿、保護)が大切です。今回は高齢者のスキンケアについてお話します。

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加齢に伴う皮膚トラブルの原因

皮膚は皮脂腺から出る脂質に皮膚表面が覆われ、乾燥や刺激から守られていますが、加齢に伴い皮脂が減少します。また、主にセラミドで構成された水分蒸発量を制御するはたらきをもつ細胞間脂質も減少し、角質細胞内の天然保湿成分も減少します。

これらによって皮膚が乾燥すると、細菌・真菌・アレルゲンなどの刺激を受けやすくなり、湿疹やかゆみなどの症状が起こりやすくなります。また掻くことにより、二次的損傷を起こしやすくなります。

そのほか、テープ等の粘着材の貼り付けにより、皮膚表面の角質が弱くなったり、はがれることがあるので注意が必要です。

おすすめの洗浄・清潔ケアについて

入浴し、洗浄・清潔にすることにより、皮膚の働きを高め、新陳代謝や血行促進、細菌感染に対する抵抗力を強化します。洗浄剤は健康な皮膚表面のphと同じ弱酸性のものを使います。摩擦による刺激を起こさないように、泡でこすらずに洗うことが大切です。熱い湯温は皮膚を乾燥させるので、38~40℃にします。保湿成分の入浴剤を使用し、乾燥肌の予防をしましょう。 

寝たきりなどで入浴できない場合は、発汗・汚染の多い部分を洗浄・清拭します。

保湿の方法について

入浴後の皮膚がやや湿った状態で、15分以内に保湿剤を塗るのが効果的です。皮膚が湿軟状態で保湿成分が浸透しやすいからです。

保湿剤を手に取り、皮膚の複数個所に点在させてつけ、手のひらで広範囲にのばします。できるだけ皮溝(横方面)に沿って塗布します。しっとりする程度の量を調整します。少してかる程度です。

保護ケア方法について

清潔・保湿も皮膚を保護することになりますが、皮膚トラブルの原因を避けることも保護になります。日常生活では紫外線対策に気を付けます。皮膚を乾燥させる紫外線は、春ごろから夏と同じくらい出ています。外出時には帽子や日傘を使用し、日焼け止めを使用します。

また高齢者のいる室内の湿度は60%以上を保ち、室内を乾燥させないように気を付けましょう。

在宅で行うスキンケアは、看護・介護をする方にとっても、皮膚トラブルの早期発見につながります。高齢者にとってスキンケアは欠かせません。毎日、継続的に行いましょう。