高齢者の口腔ケアの手順と目的 必要性について
神戸・六甲で開院している在宅医療・一般内科・血液内科の赤坂クリニック/スナメリ訪問看護ステーションです。
今回は口腔ケアの手順や目的 必要性についてお話してみたいと思います。口腔ケアとは、口の中を清潔にして、口腔の病気や全身疾患を予防すること、咀嚼・嚥下などの機能を維持することです。口腔ケアは全身の健康を守るために大切です。高齢者に多い誤嚥性肺炎、認知症の予防にもなります。
高齢者の口腔内の状態
- 高齢者は入れ歯や差し歯を使用している方が多く、詰め物・被せ物なのど間には食べ物が残りやすくなっており、歯周病になりやすくなっています。
- 高齢者に多い刻み食や、とろみ食は歯の間に挟まりやすく、口腔内に残りやすくなっています。
- 口腔機能の低下で、唾液が少なくなり口腔内が乾燥しやすいため、自浄作用が低下します。
口腔ケアの目的は?
- 虫歯・歯周病予防
- 口臭を取り除き、不快感をなくす
- 味覚の改善
- 唾液の分泌を促進して自浄作用を促し、口腔乾燥を防ぐ
- 誤嚥性肺炎の予防
- 日常生活にメリハリをつけ生活リズムを整える
- 口腔機能の維持・回復
- 認知機能の低下予防
口腔ケアの手順
うがい→入れ歯・歯の清掃→粘膜の清掃→舌の清掃→歯磨き→うがい
口腔ケア
セルフケアとプロフェッショナルケアの両方が口腔内と全身の健康の維持に大切です。
セルフケア
- 自分自身で歯ブラシや歯間清掃用具を使い清掃、虫歯予防に努める
- 栄養バランスのとれた食事をよく噛んで食べる
- 顔面・口腔を動かし、摂食・嚥下のための良好な口腔機能を保つ
- 定期的な歯科検診
プロフェッショナルケア
- 歯科医師・歯科衛生士による口腔清掃、予防方法の指導
- 口腔機能に関するリハビリテーション
口腔ケアの効果は?
- 食べる意欲の改善
- 栄養状態の改善
- 認知機能の予防、維持、回復
- 誤嚥性肺炎の予防
噛むことが脳を活性化するという研究発表があります。噛むことによって、脳に酸素と栄養を与え、脳活動を活発にし、脳の認知機能の低下予防の効果があると言われています。
誤嚥により口腔内のものが気道に入った場合、口腔内が不潔で菌などの微生物が多いと、それらが気管支から肺胞に達し肺炎を引き起こす場合があります。また、口腔機能が落ちていると、誤嚥する可能性も高くなります。口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防につながるので、高齢者の方は特に大切です。