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褥瘡(床ずれ)とは?~原因と治療・処置の方法~

神戸・六甲で開院している在宅医療・一般内科・血液内科の赤坂クリニックです。

今回は、長い入院生活を送られている患者様や、在宅介護をされているご家族様など、お悩みの方が多い「褥瘡」についてお話します。こちらの漢字「じょくそう」と読みます。

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褥瘡って?

一般的には「床ずれ」と言われています。患者さんが自分で体位変換ができず、長い時間同じ体勢で寝たきりなどになった場合に、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなります。

そうすると皮膚や皮下組織、筋肉などに酸素や栄養が行き渡らなくなり、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。

また皮膚の表面だけでなく、皮膚の中にある骨に近い組織が傷ついている場合もあります。

褥瘡はなぜできるの?

栄養状態が悪い、持病がある、抗がん剤やステロイドなどの薬の副作用で免疫力が低くなっている、薬を使用している場合やむくみが強いなどの全身的な原因があります。

また、高齢者や、皮膚が弱くなっている人や、排泄物や汗などによって皮膚のふやけがある人が、圧迫だけでなく摩擦やずれなどの刺激が繰り返されている場合に褥瘡ができてしまいます。

できやすいところ は?

仙骨部(おしりの中央の突出している骨の部分)が最もできやすく、腸骨部(腰骨の突出している部分)、後頭部や肩甲骨部、かかとなどにもできます。 車椅子を使用している場合は、坐骨部、尾骨部などにもできます。

denbu臀部の褥瘡写真

senkotu仙骨部の褥瘡写真

もし放置してしまうと?

もし放置してしまうと、場合によってはわずか数日で重度褥瘡になることがあります。 こちらは、病院で手術をされ、退院後、当院治療させていただいている患者様の手術後の傷です。

ope手術直後の写真

現在は、クリニックの治療で少しずつ傷がよくなり、奇麗になられています。

drphoto治療改善中のお写真

予防できるの?

長い時間同じところの圧迫を避けるため、定期的(2時間を目安)に体位変換を行います。 座っている場合、自分で体を動かせる場合は15分ごとに、できない場合は30分から1時間ごとに座り直しを行いましょう。

体圧分散寝具を使用します。

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治療は?

  • 塗り薬を使用します。感染を抑えるもの、創部の治癒、保湿など様々な薬剤があります。 ドレッシング材という傷を覆う創傷被覆材を使い、外部からの刺激や細菌の汚染などを防ぎます。
  • 消毒・洗浄します。傷とその周りを消毒・洗浄することで、ばい菌などの感染を防ぎます。
  • 手術を行う場合もあります。塗り薬、ドレッシング材の治療だけでは取れない、傷にしっかりくっついている壊死した筋や軟部組織などを、メスなどを用いて切り取る「デブリードマン」という手術があります。

在宅において、まず褥瘡を防ぐためには体圧管理が大切です。また、褥瘡の初期にみられる皮膚の発赤に気づくことです。栄養管理を行いながら、皮膚を清潔に保ち、褥瘡にあった治療をしましょう。