コラム

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血液疾患対応訪問診療所 赤坂クリニックの在宅輸血

神戸・六甲で開院している在宅医療・一般内科・血液内科の赤坂クリニック/スナメリ訪問看護ステーションです。

第109回近畿血液学会地方会で「血液疾患の訪問診療及び在宅輸血」について発表しました。今回はその発表内容についてお話します。

訪問診療と往診のちがい

  • 訪問診療…計画的な医療サービス(=診療)を行うこと。急変時には緊急訪問に伺ったり、入院の手配を行うなど臨機応変に対応します。多くの場合24時間体制で在宅療養をサポートするのが、訪問診療の特色です。
  • 往診…通院できない患者さんの要請を受けて、医師がその都度診療を行うこと。

在宅診療のメリット

  • 通院のための辛い移動や待ち時間がなくなり、患者さんにもご家族の通院にかかる負担を軽減できる。
  • 定期的な訪問により継続的な医療を受けることができる。
  • 入院が必要になった場合、後方支援病院がある。
  • 24時間365日対応しているので、安心して療養できる。
  • 訪問看護ステーションと連携しており、医療と介護の両面から療養生活をサポートできる。

訪問診療ではどのようなことをするのか?

  • 問診、血圧測定、聴診、酸素飽和度測定、血液検査、点滴、輸血、超音波検査、心電図、褥瘡処置など行います。
  • 全身状態の診察を基本として、薬の処方、経管栄養、中心静脈栄養、酸素療法、人工呼吸の管理などの医療措置、褥瘡(床ずれ)などの処置、認知症の方へのケアなどを行っています。

当院の特色

  • 血液疾患の患者さん30名ほどの訪問診療を行っており、月に約50件の輸血を施行しています。
  • 当院では在宅における輸血療法マニュアルを作成しており、在宅用の輸血同意書を用意しています。
  • 5年間で2000件の輸血を大きなトラブルを起こすことなく行っています。
  • 当院では、在宅で抗がん剤の皮下注射を行っています。

在宅輸血における安全管理のためのリアルタイムモニタリング

  • 前回の西川先生の発表にもありましたが、当院は岡山大学の笠原先生との共同研究で、在宅輸血の患者さんの安全管理の目的に遠隔モニターシステムを用いて、バイタルサインのリアルタイムモニターを行い、安全管理に有効であるかを検証しました。
  • SpO2、心電図波形、心拍、体動を他の患者さんを往診しながら、リアルタイムモニターで確認することができれば、輸血管理に有効であると考えます。

まとめ~今後の在宅輸血・在宅での抗がん剤治療にむけて~

  • 在宅輸血を安全に行えれば、在宅でご家族と過ごすことができる血液疾患の患者さんが増えるのではと考えます。
  • 在宅での抗がん剤の投与に関して、学会内でのコンセンサスおよび国への働きかけが必要であると考えています。