コラム

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在宅輸血の安全管理について

神戸・六甲で開院している在宅医療・一般内科・血液内科の赤坂クリニック/スナメリ訪問看護ステーションです。「兵庫輸血ミーティング」が開催され、当院の西川彰則先生が発表されました。今回はその発表内容についてお話します。

赤坂クリニックの在宅輸血の概要

当院の在宅輸血は、60歳代から90歳代の患者さんに、骨髄異形成症候群(MDS)、急性白血病、再生不良性貧血、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫など血液疾患の他に、消化管出血の患者さんにも行っております。

在宅輸血の安全管理

在宅輸血の適応・条件として、慢性疾患(血液・悪性腫瘍、通院困難で在宅療養中の貧血)、輸血歴があり、これまで重篤な副作用がない、医療従事者が患者宅を退出した後も患者さんに付き添う患者付添人がいることなどがあります。
輸血前から輸血開始後1時間少なくとも医療従事者1名が同席することに加え、輸血開始時から輸血後数時間(可能であれば翌日)まで観察を担当する医療従事者以外の成人(患者付添人)が同席することが必須です。

在宅輸血のメリット

  • 外来での長時間待たなくてよいので患者さんの負担を減らすことができる。
  • 高齢のため定期通院が困難な場合でも輸血ができる。
  • 終末期でも在宅療養が可能になる。
  • 定期輸血が問題で退院できない患者さんがご自宅に帰ることができる。

在宅輸血のデメリット

輸血中の観察が不十分になる可能性があり、急な合併症に対応しにくい。
血小板輸血はアレルギーを起こすリスクが赤血球輸血に比べると高く、予め副作用予防のためステロイドや抗ヒスタミン薬の予防投与を行っています。

在宅輸血管理の現状、今後の目標 遠隔モニターシステム

当院ではひと月に40から50件の在宅輸血を行っており、人的資源不足のため輸血中の医療者の患者観察は十分とはいえないのではないかと考え、在宅輸血中の患者さんの安全管理の目的に遠隔モニターシステムを導入し、バイタルサインのリアルタイムモニターを行い、安全管理に有効であるか検証しました。

方法は、患者さんにワイヤレスの心電図とSpO2モニターを装着していただき、ベッドにセンサーマットを敷きます。遠隔モニターを使用し、スマートフォンを用い、他患者往診中もWeb画面で、リアルタイムでバイタルを確認することが可能でした。

今後は、さらなるデバイスの改良と安全性を証明すること、また在宅輸血時の遠隔モニターが安全に資することを証明し、在宅輸血時の遠隔モニター管理料の保険点数収載と全国の普及を目標としています。また、在宅輸血の安全性が向上し、安全管理サポートにより、在宅輸血の普及に繋がる可能性があります。
今後も、スタッフ一同、患者さんとそのご家族に寄り添った在宅医療・在宅輸血を目指していきたいと考えております。