コラム

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鉄欠乏性貧血について

神戸・六甲で開院している在宅医療・一般内科・血液内科の赤坂クリニックです。

「貧血」といっても、鉄欠乏性貧血のほか、赤血球を正常につくることができなくなる再生不良性貧血、赤血球の寿命よりも早く赤血球が壊されてしまう溶血性貧血などがあります。

今回は「貧血」の約70%を占める鉄欠乏性貧血についてお話します。

「貧血」とは、赤血球の数やヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球中のタンパク質)の量が少ない状態をいいます。

「鉄欠乏性貧血」は赤血球の産生に必要な鉄の貯蔵量の不足や欠乏によって起こります。

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鉄欠乏性貧血の原因は?

  • 出血…月経過多、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・潰瘍性大腸炎など消化管出血、痔、悪性腫瘍など
  • 摂取不足…1日の必要摂取量は成人男性 10mg、成人女性 12mgとされています。
  • 吸収不良…消化器系の病気、胃や腸管の切除後
  • 利用量の増大…成長期、妊娠など

その症状は?

  • 易疲労感(疲れやすい)、動悸、耳鳴り、めまい、呼吸困難感、顔色が悪い、食欲が落ちる。起き上がれない。
  • 指の爪が上向きに反り返る。
  • 眼瞼結膜蒼白

どんな検査をするの?

採血で赤血球やヘモグロビン濃度などを調べます。

どんな治療をするの?

・まず、出血がないかを調べます。

・鉄剤を服用して失った鉄を補給します。

錠剤またはシロップの内服を開始します。飲みにくい場合は注射もあります。緊急の場合は輸血となります。

服用を開始すると2週間ほどでヘモグロビンが増え始め、1~2ヶ月で赤血球量が正常になります。

貧血症状も改善するため、「貧血が治った」と勘違いしてしまいますが、貯蔵鉄量を回復するためにはさらに1~2ヶ月服用する必要があります。

貯蔵鉄が回復する前に鉄剤の服用をやめてしまうと、すぐにまた鉄欠乏性貧血になってしまいますので、医師の指示に従って服用しましょう。

貧血にならないための生活習慣

1日3食、栄養のバランスの良い食事をこころがけましょう。

食品に含まれる鉄分には、吸収率の良いもの(ヘム鉄:肉類や魚介類に含まれる)とあまり良くないもの(非ヘム鉄:乳製品や青菜に含まれる)があります。

鉄分は良質な動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に食べると吸収率が高まるといわれています。

造血効果を持つビタミンC(野菜・果物)、ビタミンB12(レバー、卵黄、チーズなど)葉酸(レバー、納豆、ブロッコリーなど)を取りましょう。