血液のがん「悪性リンパ腫」の原因・検査・特徴・治療等
神戸・六甲で開院している在宅医療・一般内科・血液内科の赤坂クリニック/スナメリ訪問看護ステーションです。悪性リンパ腫は白血球の中のリンパ球が癌化した悪性腫瘍です。日本では年間10万人に約10人がかかるといわれており増加傾向にあります。今回は血液のがん「悪性リンパ腫」の原因・検査・特徴・初期症状・治療法についてお話します。
Contents
悪性リンパ腫とは
- 白血球の一種であるリンパ球が癌化した病気です
- 癌化したリンパ球が増殖し、頚部・腋窩・鼠径などのリンパ節が腫れます
- 消化管・眼窩・肺・脳などリンパ節以外の臓器にも発症します
悪性リンパ腫の症状は?
- 多くの場合は頚部・腋窩・鼠径にしこりが現れますが痛みはありません
- 38℃以上の発熱、体重減少、寝汗などのB症状がみられます
- 身体の痒み、発疹が現れることがあります
悪性リンパ腫の原因は?
発症の原因は明らかになっていませんが、以下の3点が考えられています。
- 染色体異常に伴う遺伝子の異常
- ウイルス感染…HTLV-1、ピロリ菌、EBウイルスなど
- 免疫不全者
悪性リンパ腫の診断のための検査
血液検査、尿検査、骨髄検査、CT・MRI・PETなどの画像診断を行います。
悪性リンパ腫の分類
悪性リンパ腫は大きく分類するとホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2種類に分けられ、日本では約90%が非ホジキンリンパ腫です。
ホジキンリンパ腫
日本では年間2000人程度発症し、20歳代と60歳代に発症しやすいことが知られています。
非ホジキンリンパ腫
- 低悪性度(濾胞性リンパ腫、MALTリンパ腫など):年単位で緩やかに進行。症状が出なければ経過観察することがあります。
- 中悪性度(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫など):週~月単位で進行。診断された時点で治療が必要となります。
- 高悪性度(バーキットリンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫など):日~週単位で急速に進行。診断を疑われた時点で緊急入院することがあり、強力な化学療法を開始します。
悪性リンパ腫の治療
治療方法は病型、病期(ステージ:Ⅰ~Ⅳの4段階)、全身状態などから考慮します。
- 薬物療法:悪性リンパ腫は血液のがんであることから全身にひろがっている可能性が高く、全身に薬剤が行き届くように薬物療法を行います。抗がん剤と分子標的薬を組み合わせることがあります。
- 放射線治療:病巣が1か所で小さい場合などは放射線治療を単独で行うことがあります。化学療法と併用する場合があります。
- 造血幹細胞移植:標準的な化学療法や放射線治療を行っても再発する可能性が高い場合、また再発した場合に行います。