コラム

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フェルムカプセル 貧血(鉄欠乏性)治療薬と副作用対策

神戸・六甲で開院している在宅医療・一般内科・血液内科の赤坂クリニック/スナメリ訪問看護ステーションです。当院では血液内科として、お子様からご高齢の方と様々な貧血の治療を実施しておりますが、その貧血の1つに鉄欠乏性貧血があります。

鉄欠乏性貧血とは血液が薄くなった状態で、ヘモグロビン濃度が男性では13.0 g/dL以下、女性では12.0 g/dL以下を目安としています。ヘモグロビンは血液中の酸素を運搬しており、不足すると自覚症状として、たちくらみや労作時の息切れ、動悸・倦怠感、顔面蒼白などが現れます。

今回は患者様からご質問の多い、貧血の治療薬と副作用とその対策についてお話したいと思います。貧血の治療薬は飲み方や選び方を工夫することで副作用を軽減できる場合があるのです。

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鉄欠乏性貧血の治療薬

貧血(鉄欠乏性貧血)と診断されたら、鉄剤の投与を行います。 鉄剤にもいろいろな種類があります。 一般的に鉄剤を1日1~2回内服します。

  • フェロミア錠(クエン酸第一鉄ナトリウム)
  • フェログラデュメット錠(乾燥硫酸鉄)
  • フェルムカプセル(フマル酸第一鉄)
  • インクレミンシロップ(溶性ピロリン酸第二鉄)…だいだい色のシロップ、などがあります。

以前は、お茶などのタンニンを含む飲物は、鉄の吸収を妨げると言われていましたが、最近の調査ではお茶を一緒に飲んでもほとんど問題ないと言われています。

鉄剤の副作用について

副作用は、胸焼けや吐き気、下痢・嘔吐、便秘などの消化器症状が出る場合があります。 消化器症状が多い原因は、鉄が胃腸に吸収されいくい成分であることから、胃腸の粘膜が刺激されてしまうのです。飲み続けていると慣れてくる場合もあります。 副作用が強い場合は、胃薬を併用したり、食直後に服用または就寝前に服用するなどします。 また、鉄剤を服用中は、薬の鉄の色のため便が黒くなることがあります。

注射の治療について

週2回程度、フェジン(含糖酸化鉄)を静脈注射するという治療もあります。注射での治療は、鉄剤の注射は早急に鉄補充が必要な場合や、鉄剤の内服の副作用が強く、内服が継続出来ない場合に行います。内服薬での鉄剤は飲み過ぎても体内に吸収されませんが、注射の鉄剤は体内に貯まるので鉄過剰に注意が必要です。

貧血(鉄欠乏性貧血)の治療はヘモグロビンが増え、フェリチン(貯蔵鉄)が正常化するまでの約3~4ヶ月間継続しなければなりません。

当院の処方について

当院では、できる限り患者様の副作用軽減を考慮して、徐放性(ゆっくりとした効果)・胃腸障害改善を意識したフェログラデュメット錠(乾燥硫酸鉄)を採用しています。

気になる症状がありましたら、当院にご相談ください。