血液内科・腫瘍内科の主な疾患
その他の血液疾患
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫とは、白血球の一種であるリンパ球が癌化した悪性腫瘍です。本来、リンパ球は感染や異物から身体を守る働きをしていますが、これが増え続けて腫瘍になったものです。
症状は、頚部・腋窩・鼡径部などリンパ節が腫れてきますが、一般的に痛みは伴いません。全身的にみられる症状は、発熱・全身倦怠感・体重減少・寝汗などです。
診断には病変部のリンパ節または腫瘍の組織を一部採取する生検が施行され、その組織を顕微鏡でみる病理学的検査で悪性リンパ腫の診断と病型分類を決定します。どの程度、病気が広がっているか評価をするためにX線検査・CT・PET検査などが行われます。また悪性リンパ腫は骨髄に浸潤していることがあるため骨髄検査や、消化管に浸潤していることもあるので消化管内視鏡検査を行うこともあります。
主な治療は化学療法と放射線治療で、造血幹細胞移植を行う場合があります。
多発性骨髄腫
多発性骨髄腫とは、血液細胞の一種である形質細胞が癌化した病気です。形質細胞は、白血球の一種であるB細胞からできた細胞で、免疫グロブリン抗体をいう病原菌から身体を守るタンパク質を作っています。通常1%未満の形質細胞が10%以上に増え、M蛋白という異常な免疫グロブリンを産生し、身体に様々な症状があらわれます。
骨髄腫細胞が骨髄中で増殖すると正常な造血ができなくなり、貧血による息切れ・倦怠感、白血球減少による感染症、血小板減少による出血傾向などがみられます。M蛋白が増えることにより血液の粘性が高くなると、血液循環が悪化する過粘調度症候群になります。また骨からカルシウムが溶け出し血液中のカルシウムが高くなる高カルシウム血症や、病的骨折や圧迫骨折が起こりやすくなります。
診断は骨髄検査を行い、骨髄中の造血の状態と骨髄腫細胞の形態などを調べます。またX線で骨病変の有無を判定し、CTやMRIで診断することもあります。治療は、化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植などが選択されます。
骨髄異形成症候群
骨髄異形成症候群(MDS:myelodysplasticsyndrome)とは、骨髄中の造血幹細胞に異常が起こり、正常な血液細胞が作ることができなくなる病気です。白血球減少により感染による発熱が起こりやすく、赤血球減少による貧血によって息切れ・動悸・倦怠感がみられ、血小板減少で出血傾向となります。
診断は血液検査で末梢血に血球の減少と形態異常がみられること、骨髄検査で異形成が認められると確定します。芽球(未熟な血液細胞)の割合、染色体異常や異形成の程度で病型分類します。血液や骨髄中の芽球の割合が20%以上になると急性白血病と診断されます。MDSは低リスク群で症状がなければ経過観察しますが、患者さんの病状・年齢。全身状態などにより、治療は支持療法、化学療法、造血幹細胞移植が選択されます。
特発性血小板減少性紫斑病
特発性血小板減少性紫斑病(ITP:Idiopathic thrombocytopenicpurpura)は血小板膜蛋白に対する自己抗体血小板結合性免疫グロブリンG(PAIgG)が発現し、血小板に結合する結果、主として脾臓における網内系細胞での血小板の破壊が亢進し、血小板減少をきたす自己免疫性疾患です。血小板減少とは、血小板数10万/µL未満をさします。
最近では、ITPにおいては血小板破壊亢進のみならず、血小板産生も抑制されていることが明らかにされています。血小板自己抗体が骨髄巨核球にも結合し、血小板の産生障害を引き起こしていると考えられています。症状は点状出血、紫斑、粘膜出血がみられます。診断は血液検査で可能で、まれに骨髄検査を行います。治療法はピロリ菌陽性の場合は除菌を行います。効果的な治療法は未確立で、多くは長期のステロイド治療が必要です。
さらに詳しく知りたい方は、国立がんセンターのホームページに様々な情報が掲載されています。
国立がん研究センター